【弁護士解説】異母兄弟が死亡した場合の相続権/割合/放棄/遺言書のポイント

弁護士 山村 真吾
Leapal法律事務所 代表
法律事務所名のLeapal(リーパル)は、「Legal」(法律)、「Leap」(飛躍)、「pal」(仲間、共に)の造語であり、「法律を通じて、困難を依頼者と共に乗り越えたい」という想いを込めています。弊所は、「中小企業の紛争対応」「遺言相続」「個人賠償法務」の3分野に注力しています。
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目次

異母兄弟の相続に関するみんなのお悩み

異母兄弟が亡くなったらしいけど、
相続手続きに参加しないといけないの?

異母兄弟と遺産分割が必要らしいけど、相続割合は一緒なのかな?

異母兄弟が死亡したらしいけど、相続に関与したくない

異母兄弟となる子供がいる場合、遺言書は残した方がいいの?

この記事では、弁護士監修のもと異母兄弟の相続に関するよくある質問や問題を解決するための情報を整理しています。

そもそも異母兄弟とは?

異母兄弟(いぼきょうだい)とは、父親は同じで、母親が違う兄弟姉妹のことを指します。文字通り「異なる母を持つ兄弟」です。一般的に「腹違いの兄弟(はらちがいのきょうだい)」とも呼ばれます。

異母兄弟の相続に関するざっくりした結論

異母兄弟が亡くなったらしいけど、相続手続きに参加しないといけないのでしょうか?

第一順位の相続人、第二順位の相続人がいないのであれば、第三順位の相続人として、相続手続きに参加する必要があります。もっとも、相続放棄をすれば、相続手続への関与は不要となります。

異母兄弟と遺産分割が必要らしいけど、相続割合は同じでしょうか?

異なります
父母の一方を同じくする兄弟姉妹と、父母の双方を同じくする兄弟姉妹では、相続割合が異なります。

異母兄弟が死亡したらしいけど、相続に関与したくありません。どうすればよいでしょうか。

相続放棄をすれば、相続手続きに関与する必要はありません。

異母兄弟となる子供がいる場合、遺言書は残した方がよいのでしょうか。

遺言書を残すことで相続後のトラブルを防ぐことができます。

以下、異母兄弟の相続に関するそれぞれのお悩みに関して、より詳しく解説をさせていただきます。

▼弁護士監修相続コラム▼

お悩み①異母兄弟の相続権

そもそも異母兄弟に相続権は認められるのでしょうか。

はと町

よく疑問を持たれる方が多い点です。

異母兄弟であっても、「法定相続人になり得ます」。
異母兄弟の相続がよく問題となる事例を基に説明させて頂きます。

【事例A】
前妻との間に子二人を有し、かつ、後妻との間にも子二人を有する父親がいます。

父親が死亡した場合、誰が相続人になるのでしょうか?

異母兄弟の相続関係図
はと町

この事例では、後妻及び子供4名が法定相続人になります。

前妻は、離婚しており配偶者ではないため、法定相続人には当たりません。

事例A ポイント】
前妻との間に子二人、後妻との間にも子二人を有する父親が死亡したケース

後妻及び子供4名は、法定相続人になる

※前妻は法定相続人にならない
※相続割合は「お悩み②」で解説

はと町

次の【事例B】で異母兄弟の一人が被相続人である場合を考えてみましょう。

【事例B】
父親が同じ異母兄弟4名がいます。父親とそれぞれの母親は既に亡くなっており、兄弟たちは全員独身です。

前妻の兄弟のうち一人が亡くなった場合、相続人は誰になるのでしょうか?

なお、被相続人は独身で、配偶者はいないため、配偶者相続人はいません。

異母兄弟同士、面識がないことも多いと思います。それでも、法定相続人になりますか?

はと町

はい、面識がなくとも、上記の相続関係図のとおり、異母兄弟は法定相続人になります。

はと町

被相続人に、配偶者相続人はいません。

血族相続人についてですが、第一順位の子はおらず、第二順位の親も既に亡くなっています。したがって、第三順位の兄弟姉妹が法定相続人となります。

母親が同じ兄弟姉妹については、相続人であることは明確です。

問題は、母親が異なる兄弟姉妹が相続人になるかどうかです。どうなりますか?

はと町

民法では母親が異なる場合でも、相続人として認められています

はと町

民法900条は、法定相続分に関する規定ですが、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」と書かれているように、父母の一方のみを同じくする(つまり、父母の一方が異なる)兄弟姉妹であっても、法定相続人であることを前提としています

民法900条4号
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

事例B ポイント】
前妻の兄弟のうち一人が亡くなった場合、後妻の兄弟は法定相続人になりうるのか?

異母兄弟も法定相続人になる

【事例A】及び【事例B】を通して、異母兄弟が相続人になることがよく分かりました!

はと町

異母兄弟の場合「相続割合」は注意が必要です。
この点について、次の「お悩み②」で説明させて頂きます。

お悩み②異母兄弟の法定相続分(相続割合)

はと町

続いて、異母兄弟の「相続割合」について説明します。

先ほどの事例を用いて考えていきましょう。

【事例A】
前妻との間に子二人を有し、かつ、後妻との間にも子二人を有する父親が死亡したというケース

相続割合はどうなるのでしょうか?

はと町

【事例A】の場合、後妻(死亡時の配偶者)と、異母兄弟4名が法定相続人になることは「お悩み①」で解説したとおりです。

そして、配偶者と子が法定相続人になる場合、法定相続分は「配偶者が2分の1、子が2分の1」となります(民法900条1号)

民法900条1号
子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

子達の相続割合は同じなんですか?。

はと町

結論としては「前妻の子と後妻の子で相続割合は同じ」です

民法900条4号は「血族相続人が複数いる場合の相続割合に関して規定」していますが、前妻の子か後妻の子かによって、区別をしていません。

したがって、民法900条4号が規定するとおり「各自の相続分は、相等しい=前妻・後妻いずれの子か関係なく相続割合は同じ」ことになります。

【事例A ポイント】
前妻との間に子二人を有し、かつ、後妻との間にも子二人を有する父親が死亡したというケース

相続割合→配偶者(後妻)が2分の1、子達が2分の1

※前妻は法定相続人にならない

【事例A】の場合については分かりました。
【事例B】の場合は、どうなるのでしょうか?

はと町

【事例A】の場合、異母兄弟らは、いずれも「子の資格で相続する」場合のため、「兄弟姉妹の資格で相続する」場合に妥当する民法900条4号但書の適用はありません。

はと町

【事例B】の場合、注意が必要です。

【事例B】
父親が同じ異母兄弟4名がいます。父親とそれぞれの母親は既に亡くなっており、兄弟たちは全員独身です。前妻の兄弟が亡くなったというケース。

事例Bの場合、異母兄弟3名の全員が法定相続人になることは「お悩み①」の説明でわかりました。

相続割合はどうなるのでしょうか?

はと町

この被相続人の場合、配偶者はおらず、子もおらず、親は他界しています。

相続人になるのは、第三順位の兄弟姉妹です。そして、異母兄弟であっても、法定相続人になる点は、お悩み①で説明したとおりです。

肝心の相続割合ですが、結論としては、以下のとおりです。

事例B ポイント】
父及び母を同じくする兄弟1名:2分の1
父のみを同じくする兄弟2名:それぞれ4分の1

異母兄弟か?そうでないか?で相続割合が異なるんですね!

異母兄弟が亡くなり、自分が兄弟姉妹として相続人になる場合には注意が必要です。
というのも、父母の両方が同じ兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)と、父または母のどちらか一方だけが同じ兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)とでは、相続できる割合が違うからです。

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
(略)
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

お悩み③異母兄弟の相続に関与したくない

異母兄弟が亡くなったらしいのですが、面識もなく相続に関与したくありませんが、どうすればいいですか?

はと町

相続放棄をすれば、初めから相続人でなかったことになりますので、相続に関わる必要がありません。
先ほどの【事例B】を基に整理してみましょう。

はと町

【事例B】では、相続人Bおよび相続人Cは、被相続人と面識がなかったり、疎遠であったりすることが多いと考えられます。

この場合、相続人Bや相続人Cは、「相続放棄」をすることで、被相続人の相続に関与しない選択ができます。

異母兄弟である被相続人の相続に関わりたくないと感じたら、「相続放棄」をするのが選択肢の一つです。

「相続放棄」はどのようにしますか?

はと町

異母兄弟の相続放棄」の方法は、以下の記事で解説しているので、こちらをご覧ください。

お悩み④異母兄弟の子供がいる場合、遺言書は残した方がよいか?

以下の家族関係を前提とした場合、遺言書を残した方がよいでしょうか?

はと町

遺言者側が持つ悩みですよね。解説していきます。

「前妻の子B・C」と「後妻Aと子D・E」で、グループが対立しそうな感じがします。

はと町

一般的な傾向としては、今回のような事例は、遺言書がないと揉める可能性が相応にあると思います。

生前のうちに遺言書を書いて残しておき、将来の紛争を予防するとよいでしょう。

この場合、遺言者は、どのような点に気を付けるべきでしょうか?

はと町

何点かありますが、特に重要な点は、
①遺留分を念頭に遺言書を作成すること
②遺言執行者を指定すること
です。

≪遺言者の気を付けるべき点≫
①「遺留分」を念頭に遺言書を作成すること
②「遺言執行者」を指定すること

はと町

まず、①の遺留分」は前妻の子であろうが、後妻の子であろうが、認められます

したがって、「遺留分」を無視した遺言書を残すと、相続後に「遺留分侵害額請求」という紛争に至る可能性があります。

そのような遺言を残したい場合であっても、付言事項で「想い」を残しておくなど工夫が必要でしょう。

はと町

遺留分侵害額請求」については以下の記事で解説しているのでこちらをご覧ください。

「遺言執行者」については、どうでしょうか

はと町

一般的な傾向として、前妻の子と後妻の子は、お互いに関わりたくないと思うことが多いのではないでしょうか。

そうであれば、「遺言執行者」は弁護士等の専門家を指定し、遺産分割協議や遺言執行の際に、お互い関与しなくても済むようにしておくとよいでしょう。

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